14 / 229

第14話

身じろぎ一つしなくなったと思ったら、規則正しい寝息が聞こえてきた。 安心したのか… 一人できっと心細かったんだろうな。 俺はいつも家族の誰かがいるから、熱出しても怪我しても、自分の心配したことがないし、病人だからと態度もでかくなって、ここぞとばかりに言いたい放題やりたい放題なのに。 瑞季はずっと一人で… 今までどんなに淋しくて辛い思いしてきたんだろう。 でもそんな素振りも全く見せずに。 守りたい 甘やかしてやりたい 沸々とそんな感情が湧いてきた。 俺はやっぱり、こいつのこと… 「瑞季…好きだ。」 自分で言って、ぼっと身体が火照ってきた。 瑞季は寝入って聞こえてはいないはず。 ぱたぱたと手で顔を扇ぎながら、今日の宿題になるであろう課題をカバンから取り出して広げた。

ともだちにシェアしよう!