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第21話

「勝手に自己完結しないでっ!」 日向の頬から手を離して叫んだ。 「僕、僕だって… ずっと日向のことが好きだったんだ! でも、男同士だし、気持ち悪いって言われたらどうしようか とか、告って今の関係が壊れたらどうしようとか、日向に嫌われることが怖くて言えなかった。 そんなになるくらいなら、ずっと友達でいいって… でも、いつか日向の隣に女性が並ぶようになったら、僕は…僕は…」 最後の方は、泣き声になってたから、伝わったかどうかわからない。 日向は、この状況をやっと理解したみたいで、おずおずとおれの肩に触れ、そっと抱きしめてきた。 「じゃあ、俺達は最初からお互いに一目惚れだったんだな… ちゃんと言うよ。 瑞季…お前のことが大好きだ。付き合って下さい。」 「日向…僕、男だよ?いいの?」 「お前だからいいんだ。俺のものになって。」 下がったり上がったりの急展開に僕の気持ちは追いついていかず、熱も上がり切ったのか、ふっと意識が薄れていく。 「瑞季?瑞季?おい、瑞季っ!」 慌てる日向の声が心地よく遠ざかっていった。

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