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第24話

ちゅっ と音がして、顔が遠ざかった。 えっ、えっ、えーーーーーっ! びっくりして大きく目を見開き、声も出せない僕に、日向は 「な、現実だろ?」 とドヤ顔で言い放った。 「お前、病人だからこれ以上はしないけど… 今度は手加減しない。」 ちょっと…これ以上って、キスより先ってこと?手加減って…? 頭がぐるぐるして、また熱が上がりそうで、僕は日向を軽く睨んで布団を深く被った。 日向はぽんぽんと布団を軽く叩くと、 「なんか食べれるか?夕飯にしよう。 お袋が瑞季用に消化のいいもの作ってくれたから食べてみるか?」 「うん、なんだか…お腹すいてきた。」 「ちょっと待ってな、すぐ用意するから,.」 キッチンに行く日向の後ろ姿を見ながら、僕は何とも恥ずかしいような、面映ゆいような、幸せな気分で一杯になり、大きく息をしてまた目を閉じた。 幸せな夢なら覚めませんように…と願いを込めて…

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