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第26話
じわっと涙が溢れてきて、日向の顔がぼやけて見えた。
大好きな人に大好きだと言われて、僕はなんて幸せ者なんだろう、こんなに幸せでいいのかな…と逆に怖くなってきた。
僕が日向を思うことは…
あの優しい涼香ママやお父さんを裏切ることになる…
「でも…日向…
僕…僕は、涼香ママを裏切ることになるんだよ?
僕が女の子ならきっと問題はないんだろうけど、僕、男だよ?
他人から、色んなこと言われちゃうよ?
結婚はできないし、日向の…赤ちゃんだって産めないんだよ?
それでも…それでもいいの?
これから…これから先、日向に好きな女の子ができたら…僕は…僕は、別れるしか」
「瑞季っ!」
大声で止められた。
「瑞季…何回でも言うよ。
俺はお前のことが好きだ。
一生大切にしたい。
これから先の人生をずっと歩んでいきたい。
女はいらないし抱けない。
子供は…お前がいればいらない。お前がどうしてもと言うのなら、養子縁組を考える。
跡取りは、朝陽がいるから心配いらない。
お袋達は、そんな了見の狭い人間じゃないから大丈夫だ。
もし反対されたら納得してもらうまで話し合う。
これでも、これでもまだ心配か?
どうしたら、俺のこと信用してくれる?」
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