26 / 229

第26話

じわっと涙が溢れてきて、日向の顔がぼやけて見えた。 大好きな人に大好きだと言われて、僕はなんて幸せ者なんだろう、こんなに幸せでいいのかな…と逆に怖くなってきた。 僕が日向を思うことは… あの優しい涼香ママやお父さんを裏切ることになる… 「でも…日向… 僕…僕は、涼香ママを裏切ることになるんだよ? 僕が女の子ならきっと問題はないんだろうけど、僕、男だよ? 他人から、色んなこと言われちゃうよ? 結婚はできないし、日向の…赤ちゃんだって産めないんだよ? それでも…それでもいいの? これから…これから先、日向に好きな女の子ができたら…僕は…僕は、別れるしか」 「瑞季っ!」 大声で止められた。 「瑞季…何回でも言うよ。 俺はお前のことが好きだ。 一生大切にしたい。 これから先の人生をずっと歩んでいきたい。 女はいらないし抱けない。 子供は…お前がいればいらない。お前がどうしてもと言うのなら、養子縁組を考える。 跡取りは、朝陽がいるから心配いらない。 お袋達は、そんな了見の狭い人間じゃないから大丈夫だ。 もし反対されたら納得してもらうまで話し合う。 これでも、これでもまだ心配か? どうしたら、俺のこと信用してくれる?」

ともだちにシェアしよう!