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第36話

「…で?瑞季、伝えたいことって?」 「…うん、あのね、僕…」 なかなか言葉が出ない。 でも、日向は優しい眼差しで僕をじっと見つめたまま、待ってくれている。 「さっき、大河に言われて気がついたんだ。 僕、僕、きっと日向を信じてなかった。 日向は真っ直ぐに正直に自分の気持ちを伝えてきてくれてたのに、僕は『捨てられたらどうしよう』とか『日向の家族のこと』とか、色々理由をつけて、結局世間体を気にして、僕の本音を隠してきてたような気がするんだ。 もちろん今でも、涼香ママに対して申し訳ないって気持ちは、すごくあるんだ。 さっきも僕を大歓迎してくれて… でも、僕の『日向が大好き』って気持ちは、絶対に変わらないし変えられない。 どんな状況になっても、自分の気持ちは大切にしたい。 この間から頭がぐるぐるして、同じことばっかり言ってるんだけど… 日向… 僕はまた、時々迷ったり遠慮したりすると思う。 そんな僕でも受け入れてくれる?」 ぼふっと日向がぼくを抱き込んできた。 「当たり前じゃん! 瑞季は俺の一番大切な人… 二人ならどんなことでも乗り越えていけるし、そうしたい。 瑞季…ありがとう。大好き。」

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