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第39話
そんなある日のこと。
「ひーなーたー。どうしたの?」
ぼんやりしていた日向にソファーの背もたれ越しに抱きついた。
「んー、明日 親父が帰ってこいって。
なんか話があるみたい。せっかくの休みに一緒にいれなくてゴメンな。」
「ううん、大丈夫。部屋の片付けしとくよ。
そうなの。急だね…何だろうね。
泊まってくるんでしょ?準備しなくちゃね。
あ、明日朝イチで買ってくるから、涼香ママが好きなロールケーキ持って行ってね。」
「うん、わかった。ありがとう。」
今から日曜の夜まで、イチャイチャするつもりだったのに…とブツブツ言いながら、日向は泊まりの用意を始めた。
「あ、そうだ。
この間、涼香ママと街の中で会ったんだよ。
病院の帰りだって言ってたよ。
どこか具合でも悪かったのかな。」
「あの人は、病気だって跳ね飛ばしちゃうよ。
なぁ、それより、瑞季…
明日一緒にいられない分、今から…」
「もう、日向ったら…
キッチンの片付けしてくるから…待ってて。」
急に気恥ずかしくなって、パタパタとスリッパの音を立てながらキッチンに走っていった。
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