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第47話

翌日、手土産を抱えて日向が出掛けた。 玄関で 「泊まってくるけど、明日はなるべく早く帰ってくるよ。 一緒に居たかったのにごめんな。」 と、キスを残して。 リビングのソファーに一人きりで座る。 何とも落ち着かない。 いつもは隣に日向がいて、それが当たり前になっていたから。 お父さん直々の呼び出しって、何だろう。 日向だけでなく、朝陽君も。 まさか、僕達のことがバレたんじゃないだろうか。 考えがマイナスへ傾き始めてる。 不安な気持ちを振り払うように、僕は掃除に没頭しようと、窓を全開にした。 カーテンを外して洗濯機に放り込む。すぐに水がグレーになり、意外と汚れてるのにびっくりする。 窓の桟も枠も丁寧に拭いていく。 年末大掃除には早いけど、キレイになると気分もスッキリしてくる。 心の中のモヤモヤしたものも一緒に削ぎ落とすつもりで。 確か風水でも掃除はいいって言ってたよな… もう、徹底的にやってやれっ! 勢いの付いたまま、キッチン、トイレ、バスルーム…と手当たり次第にピカピカにしていく。 ふっと部屋の暗さに気が付くと、窓の外は とっぷりと日が暮れて星が瞬いていた。 昼ご飯も食べないまま動き続けお腹が空きすぎていたことに、我ながらおかしくて、ここで掃除を終了する。 あー、スッキリした。 日向、びっくりするかな。 今日は一人だし、冷蔵庫の整理を兼ねて余り物ご飯にしよう。 何があったっけ… 中途半端に残った白菜も大根も しめじもあるし、あ、鶏肉も残ってる。 お一人様鍋にしよう!

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