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第49話

翌日の昼前 連絡もなく、突然日向が息急き切って帰ってきた。 「びっくりしたー、日向、お帰りー!」 日向は無言で僕を抱きしめる。 「日向、ひーなーたー。一日会えなかっただけだよ。 どうしたの?」 抱きつかれたまま、ポンポンと日向の背中をあやすように軽く叩いてやる。 「日向?」 泣いている日向に気付いた僕は、それ以上何も言わず、黙って抱きしめた。 しばらくして落ち着いた日向は、僕の手を引いてベッドに腰掛けた。 「お袋が乳がんで、余命半年から一年なんだ。 それと 俺とお前のこと、気が付いている。 親父に文句は言わせないから、覚悟ができたら連れて来いって言われたよ。」 「えっ、半年って…本当なの??どうして?? えっ、バレちゃった?? どうしよう…」 僕は、涼香ママの余命宣告と僕達の関係がバレたことの、二重のショックに 完全にパニクっている。 日向は握った僕の手にそっと力を込める。 「俺はずっと前から、不安定な状態の同棲じゃなく法律でも認められた家族として一緒に暮らしたいと思ってた。 お前と付き合う時点でいろんな覚悟は決めていたんだ。 お互いに何かあっても、只の同居人じゃ、付き添うことも同意書にサインもできないし、踏み込めない。 お前を苦しめるものから守ってやることもできない。 俺は一生お前と家族でいたいんだ。 瑞季、愛している。結婚して下さい。」

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