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第50話
「えっ、ちょっと待って、日向…
日向はカッコよくて、何でも出来て、ステキな女性が横にいるのが似合ってて、僕なんか…
僕なんかと一緒にいるのは、ちゃんとした相手が見つかるまでの気まぐれだから、本気にならないようにしてきたんだ。
僕が勝手に好きになって…
今まで何度も何度も身を引こう、別れなくちゃって思ってて…
僕といたら、日向の人生が滅茶苦茶になってしまう!」
「バカヤロウ!
お前、今まで俺の何を見てきたんだ!
高校で初めて会って、俺の一目惚れだって、
俺の告白を何回聞いてるんだよ!
お前と一緒にいるから、俺はどんなことでも超えていけるし、楽しく暮らしていけるんだ!
瑞季、お前がいないと俺は…
他の誰もいらない。瑞季だけでいいんだ!」
僕は大きな目を更に大きくして日向を見つめていた。
と、その目が潤み、ポロリと涙がこぼれ落ちた。
「日向…僕、僕…」
もう、声にならない。
僕は日向にしがみついて声をあげて子供のように泣いた。
「今度の休み、実家に行ってくれるか?」
優しい声に僕はしゃくりあげながら、何度もうなづいた。
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