51 / 229
第51話
半分上の空で仕事をこなし迎えた週末、
日向と僕は、スーツをビシッと決めたものの、ド緊張MAXで日向のお父さんの前に正座していた。
涼香ママから事前に聞いているであろうお父さんは、口を真一文字に結んだまま 黙って座っている。
「あらあら、みんな固まっちゃって。
ほーらー 臣さん、威嚇しないの!」
涼香ママは、お父さんのことを『臣さん』と呼ぶのだ。
臣さん と呼ばれたお父さんは、
「そんなつもりはないんだけど」と小声でボソボソ呟いた。
涼香ママが三人の前に茶器を置いて、お父さんの横に座った。
「日向、瑞季君。
お前達の考えを聞こうか。」
日向は深呼吸を一つして切り出した。
「俺達は、付き合い出したのは高校の時で…
その頃から、生涯を共にしていきたいと思っていました。
俺は性別を超えて、瑞季だから好きになって、瑞季だから一緒に生きたい。
世間の偏見や誤解や…
クリアしなければならないことも沢山あるのはわかっています。
みんなに受け入れられるとは思っていません。
それは重々覚悟しています。
親父とお袋には申し訳ないけれど、後悔したくない。
今の法律では、同性同士の結婚はできないから、養子縁組を結ぶことになる。
俺の方が二ヵ月早く産まれたから、瑞季が西條の家に入ることを
俺達の結婚を許して下さい。」
一気に伝えて頭を下げる。
ともだちにシェアしよう!