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第55話
慌ただしく日を過ごして迎えた挙式当日。
日向と僕は、真っ白なタキシードを身に付け、控え室にいた。
「瑞季、綺麗だ…」
「日向も…
なんか、幸せすぎて死んでしまいそうだよ。」
「ばーか、これくらいで死んでたまるか。
これからもっと幸せにしてやるから覚悟しとけよな。」
日向に抱き寄せられてキス…
と、そこへノックの音。慌てて離れると同時にドアが開いた。
朝陽君が笑いながら入ってきた。
「イチャイチしてんじゃねーぞ、このリア充が。」
「まあー、二人ともイケメンぶりが際立ってるわねぇー。
日向、瑞季君…おめでとう…」
涼香ママが目をウルウルさせて、お父さんを従えて入ってきた。
そして僕の手をそっと握ると
「瑞季君、私達は息子が増えてうれしいわ。
どうか、どうか幸せにね。
日向のこと、よろしくお願いします。」
隣でお父さんも頷いている。うそ、ちょっと泣いてる?
目、赤いですっ!お父さん…
「はい…絶対に、絶対に日向のこと、幸せにします!
不束者ですが、末永くどうぞよろしくお願い致しますっ!」
涼香ママの手を両手でそっと握り返し、潤んだ目で見つめる。
「これでまた一つ願いが叶ったわ」
え…?
ポロリと落ちた涙を涼香ママがハンカチで拭ってくれた。
「おい、お袋。瑞季を泣かさないでくれよー。
俺に返して!」
日向が、涼香ママから僕をべりっと引き剥がして、背中から抱きしめた。
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