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第58話

「うっわー…俺様日向出た……わかった。口は出さない。 でも、帰ったらちゃんと僕にも請求して。 二人の旅行だから。」 「今回は嫌だ。全部俺に任せろ。 そのために俺に任せてくれたんだろ? 次どこかへ行く時には、もちろんちゃんと相談するよ。 あ、出かける時だけじゃない。どんなこともお前と相談するし、そうしたい。 なぁ、頼むから少しはダンナらしいこと、させてくれよ。 さ、この話はおしまい。 シャワー浴びたらメシ食いに行こうか。 一緒に入ってもいいんだけど、それで終わりそうにないから…俺、先に入ってくるわ。」 勝手に自己完結して、最後はちょっとセクハラっぽい言い回しでバスルームに行ってしまった。 一度言い出したらテコでも引かない日向だから、もう言っても無駄だ。 諦めて窓の外を見る。 はぁーっと溜息が出るくらいの風景。 全てのものが秋の日差しを浴びてキラキラと輝いている。 僕のためにきっと色々と調べて考えて、一生懸命手配してくれたんだろう。 一体どんな言い方でここを予約したんだろう? せっかくの一度しかない新婚旅行だ。日向に任せると自分で決めたんだから、思い切り二人で楽しもう。 とりあえず、キャリーバッグから必要な物を取り出して、日向が出てくるのを待っていた。

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