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第78話
夕食は、地元の食材をふんだんに使ったカジュアルフレンチ。メインは和牛のポアレ。
「フルコースは緊張するよね。」
「あぁ。でもお前の食べ方綺麗だから羨ましいよ…上品だよな。どこで習ったんだ?」
「えっ、上品って…。料理教室に通ってた時に教えてもらったんだよ。」
「料理教室?通ってたのか?気付かなかった….一体いつの間に?」
「大学二年の時。 日向に食べてもらうのにレパートリーが少なくって悩んでて…それで。」
「俺のために?…そう言われてみれば、格段に料理が上手くなって凝ったもの作るようになってたよな…あの頃か…」
「うん。少しでも美味しいもの食べてもらいたくて。っていうか、日向の胃袋がっちり掴んで僕から離れられないようにしたくって。」
ふふっと笑う僕に、日向が真っ赤になって口元を押さえた。
「日向?」
「…ヤバい…瑞季…お前、かわいすぎる…
このまま押し倒したい…」
「えっ…」ぼふっと顔が赤くなる。
急に気まずくなって二人して沈黙して、黙々と食べていると
「西條様、失礼致します」
「何でしょうか?」
「特別な記念日だと伺いましたので、当館のオーナーからプレゼントでございます。
もしよろしければ御賞味下さいませ。」
と、カートに小ぶりのケーキとシャンパンを載せたウェイターが、にこやかに立っていた。
「え?ホントですか?うれしいな。
ぜひ、いただきます。オーナーさんにどうぞよろしくお伝え下さい。」
「承知致しました。では…」
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