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第80話

日向のせいで、せっかくの料理も最後のほうは味がわからなくなっていた。 黙ったまま部屋に入り、鍵を掛けた瞬間、日向が僕の前に跪いて右手を差し出した。そう、姫にプロポーズする王子のように。 突然の行動にびっくりして立ち竦む僕に 「私、西條日向は、一生 西條瑞季を愛して止まないことを改めて誓います。 だから… この手を離さないで…」 あまりの真剣さに、僕はゴクリと唾を飲み込むと、そっとその手に右手を重ねた。 「私、西條瑞季は、病める時も健やかな時も、西條日向を愛し続けることを改めて誓います。 愛してると言って…抱きしめて…」 ぐい と重ねた手を引き寄せられ、僕は日向の胸に倒れ込んだ。 「誰が離すもんか。お前は俺のものだ。 瑞季…愛している。」 見つめ合って…キス。 次第に荒くなる息と、心臓の鼓動。 絡め合う舌が生き物のように蠢く。先程のシャンパンとケーキの味がする濃厚なキスで、僕は頭がクラクラしてきた。 日向が僕を横抱きにすると、ベッドへ そっと横たえた。 愛おしそうに、僕の乱れた髪を撫で付け、その手が頬から顎へ移動している。くいっと顎を持ち上げられて、またキス。 そうしながら、日向の手は僕のカーディガンを脱がせ、シャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していた。 見えないのに器用なことを…ぼんやり考えているうちに、いつの間にかベルトを外しスラックスのジッパーを下ろして… ピタリと日向の動きが止まった。 「瑞季…これ…どうしたの?」 日向の手が僕の下着のラインを撫でていた。 ハッと気付いた僕は 「あ…遙さんからのプレゼント。 『花嫁さんだからかわいくね』って…昨日はバスローブのままで見せれなかったから、今日は…」 「かわいくて、エロくて…似合ってる… ちゃんと見せて…」 それは手の込んだ総レースの白いビキニ。 日向は人差し指でそっとその縁を辿っていく。

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