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第89話
「…恥ずかしいの!嫌なんだって!
だってそこ…本来は挿れるところじゃないんだよ!?
だから…」
「『挿れるところじゃない』…そう思ってるんだ…男同士はソコでしか繋がれないじゃんか。
それがダメだって思ってるんなら…
瑞季はもう俺とセックスしたくないってことなんだよな。っていうか、ずっとそう思ってたのか?
…わかった。
俺達は、プラトニックな愛情を貫けばいいんだな。」
吐き捨てるように日向に言われて、僕はどうしていいのかわからなくなって、ただ おろおろしていた。
そうじゃない、そんなこと言ってるんじゃないのに。
日向は黙って起き上がると、バスルームへ消えて行った。
一人ベッドに残された僕はそこから動くことができずに、茫然と座り込んでいた。
シャワーを浴びたらしい日向が戻ってきて
「お休み、瑞季。」
と言うと、もう一つのベッドへ潜り込んだ。僕に背中を向けて。
何で?新婚旅行だよね?さっきまで抱き合ってたよね?
僕のせい?何でケンカになってるの?
恥ずかしいから嫌だって言っただけなのに。
うっ、ううっ、うっ
涙が溢れて止まらない。嗚咽が泣き声になった。身体の震えも止まらない。
助けて。助けて、日向。
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