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第90話
このままじゃダメだ。ちゃんと伝えなければ。
僕は泣きながら起き上がると、勇気を振り絞って声を掛けた。
「日向…日向。ヒック…起きてる?僕の…僕の気持ちちゃんと聞いてよ。ひぐっ…このままじゃ嫌だ。お願い。」
背中を向けたまま日向が答える。
「何を?さっき聞いたから…今更何を聞けばいい?愛してる相手と繋がりたいと思う俺がおかしいのか?
お前を愛して愛されて抱き合いたいと思うのはいけないのか?
乱して啼かせて、俺しかできない究極の快楽を与えたい、与えて欲しいと思うのはダメなのか?
それが許されないなら、離れて寝るしかないだろ。」
「僕が言ってるのはそんなんじゃない!
ただ、恥ずかしいんだって、何度言えばわかってもらえるの?」
むくりと日向が起き上がり、真っ直ぐに僕を見た。
「恥ずかしいのはいけないことなのか?」
「えっ?」
「お前の痴態を俺だけが知ってる のはダメなのか?」
「………」
「逆に言うと、俺の恥ずかしいと思うことを知ってるのはお前だけなんだぞ。
お前だけが恥ずかしい思いをしてるんじゃない。
お互いに曝け出してただひたすらに慈しみ愛し合う…愛おしいと思って抱いてきたのは俺だけだったのか?」
ふうっ と溜息をついて日向が視線を落とした。
そして
「まさか新婚旅行中にこんな想いをするなんて…」
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