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第91話

「…ごめん、瑞季…俺、ちょっとショックが大きくて、優しくしてやれそうにない。 今まで俺の独りよがりだったんだな。俺だけがそう思ってたのか… そうだよな、男に抱かれるなんて、やっぱり気持ち悪いのか」 「違う!!違うんだ…僕は日向に抱かれたいっ!日向だけに… 愛して愛されて滅茶苦茶に溺れたいっ! ただ、嫌とかじゃなくて本当に恥ずかしいだけなんだよ。未だに慣れないんだ。 それだけはわかってよ。」 それだけ言うと、僕は日向に抱きついた。 感情が昂りすぎて、身体の震えが止まらない。 日向は…動かない。抱き締めてもくれない。 震えながらそっと顔を上げて日向を見上げると、見たことのない悲しげな視線とぶつかった。 「日向…」 すがる俺の両手をそっと外して背中を向けた。 「…いやっ!いやだっ!この手を離さないでっ!離れるなって、一生離さないって言ったの日向でしょう? 僕もそう誓ったよ! お願い…僕を…抱いて…」 それでも日向は黙って布団に戻ってしまった。 僕はなすすべもなく震える自分の両肩を抱き締めていたが、ここにいてはいけない、一人でどこかに行かなければ…と、よろよろ立ち上がり、着替えをすませると荷物をまとめ出て行こうとした。 「どこに行くんだ。」 びくっとして振り向くと、日向が行く手を塞ぐように立っていた。

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