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第92話
「どこって…だってもうここにはいられない…
日向、僕といるのは嫌でしょう?
せっかく僕のために計画してくれてたのに台無しにしてごめんなさい。
帰りの飛行機は一緒に乗るから…
とりあえず、出るね…」
横をすり抜けて行こうとした僕を日向が抱き締めてきた。
僕の身体はまだ震えたままだ。
「瑞季…瑞季、ごめん。こんなに震えて…身体もこんなに冷えて…ごめん。
つまらない意地を張った。
俺を…俺の愛を拒否されたと思って…辛く当たってごめん。」
抱き締められたところから体温が戻りだんだん震えが治まってきた。
「日向…」
名前を呼ぶのが精一杯で、涙が一杯に溜まって、今にも溢れそうだった。
好きだ。この男が大好きだ。
何を言われても何をされても離れることはできない。
あんな態度も僕を愛し過ぎてのことだと理解している。
僕達二人とも意地っ張りで天邪鬼だから。
溢れる想いを抱きしめ返すことで伝える。
愛しています…と。
「瑞季…お前の嫌なことはしないから…もう一度、抱きたい…」
「…日向の好きなように抱いて…僕が…乱れるくらいに…でも、そんな僕を見て嫌いにならないで…」
「!当たり前じゃないか。瑞季…愛してるよ…」
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