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第125話
五十嵐さんは相沢さんの背中をポンポンと叩きながら優しくささやいていた。
「俺達もずっと笑顔の式にしような…」
それを見てると僕まで泣きそうになってくる。
「すみません。物凄く感動したらしくて…
あの、もしよければ今夜は泊まっていきませんか?
お勧めしたい酒も冷えてるし、ツマミもあるんです。
もっとお話お聞きしたいし…」
「えっ、でもご迷惑じゃないですか?
俺達は休みだけど五十嵐さんお仕事では?」
「仕込みも終わってるので大丈夫です。
腹減らしに風呂どうぞ。俺達は済ませてるので…
今、準備してきます。
智…ちょっとごめんな…」
五十嵐さんは僕達の返事を待たずに、彼のTシャツを握りしめる相沢さんの手をそっと外すと、バスルームへ向かっていった。
相沢さんは、その美しい目に溢れる涙を拭い、
「…すみません…最近涙もろくなっちゃって…
すごく素敵な写真で、感激しちゃって…」
「そう仰って下さって、俺達もすごくうれしいです。
相沢さん、お二人も素敵なお式にして下さいね!」
「…はい…はい。ありがとうございます…」
用意を終えたらしい五十嵐さんが戻ってきた。
「タオルも着替えもお好きに使って下さい。
ゆっくりして下さいね。
酒、待ってますよ。」
「ありがとうございます!じゃあ、めっちゃお言葉に甘えて…泊まらせていただきます!
瑞季、行くぞ。」
日向は僕の手をぐいっと引き上げ、立ち上がらせた。
「えっ、日向。まさか。」
「うん、一緒に入る。お勧めのお酒とツマミが待っている!」
日向は、あははと笑うと「ひーなーたぁー、やだぁ!」と抵抗する僕の手を引っ張って連れて行った。
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