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第127話

風呂上がりの僕達に五十嵐さんが「さあさ、一献。」と差し出したのは… 幻の酒『月香(げっこう)』の登場に、日向はヒューっと口笛を鳴らした。 「すごい!どうやって手に入れたんですか? 種籾から一粒一粒選別して、除草剤も農薬も使わず、収穫も手刈りの上、天日干しで、そこからまた一粒一粒選別してお酒にするっていう… 確か年間100本足らずじゃなかったですか?」 「知り合いから分けてもらったので… さあ、ぐっといきましょう!ぐっと!」 「うわーっ!ピンチョスだぁ!キレイ!! 美味しそう! お腹一杯のはずなのに…食べたいっ!」 大盛り上がりで二次会と化した。 ぐっと打ち解けるには時間はかからなかった。 いつのまにか、お互いを名前で呼び合うようになった日向と五十嵐さん、いや翔さんは、ご機嫌で二人の馴れ初めから互いの嫁自慢を始め、挙句に夜の生活のことまで暴露し始め、聞いてる僕と智君は、冷や汗が出るわ、真っ赤になるわ、聞くに耐え難く、 『恥ずかしいから止めろ』と言っても、それぞれがダンナに背中から抱きしめられて、身動きできない、なんとも、小っ恥ずかしい状況だった。 あー、もう、恥ずかしい… 無視して智君とこっそり会話する。 〈いっつも こんな感じ?〉 〈そうそう。俺様だから、日向は。翔さんは?〉 〈うちもそう。尊大で泣き虫で甘えん坊で。〉 〈あはっ、でも…僕達愛されてるね…〉 〈うん…そうだね…〉 〈でもさぁ、平日に無理矢理してくるのは…ちょっと…〉 〈瑞季君とこも?あれ、仕事に差し支えるから、止めてほしいんだけど。〉 〈その時の断り文句がね…ゴニョゴニョ…〉 〈へえっ!それいいねぇ。今度試してみる!〉 …嫁の井戸端会議続く… 《でさ、アイツがかわい過ぎて、俺としては毎日抱きたい…というか、挿れたいんだけど…週末しかさせてくれないし、はぐらかされたりするんだよぉ。毎日ヤりたいんだ!わかる?日向っ!》 《うんうん。わかるよぉ〜。俺もそうだもん。でもさぁ、『受け』って負担がハンパないじゃん?それは100%理解してやって。 俺んとこ最近、知恵つけやがって上手いこと言って逃げるんだよ… だからこっちもさり気なくキスしながら、そんな雰囲気に持っていってさ…》 …ダンナのエロトーク続く… ダンナはダンナ同士、嫁は嫁同士で秘密の会話をしながら…大いに楽しんだ僕達がお開きに したのは日付が変わってからだった。

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