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第133話
ひくっ…ひっく、ひっく…ふえっ、えっ
吐き出してしまったら歯止めが効かなくなった。両手で顔を覆ってぽろぽろこぼれ落ちる涙を必死で止めようとしても、止まらない。
日向は急に泣き出した僕に、理由がわからなくてオロオロしている。
「瑞季?瑞季…どうしたの?こんなのって何?
キス、嫌だった?
…明るいとこ、嫌だったの?瑞季?」
僕を抱きしめて子供を宥めるように背中をトントンされる。
ひとしきり泣いた僕は、えぐえぐとしゃくりあげ、日向の胸に抱かれていた。
「…明るいの…イヤだ。」
「うん。」
「丸見えなの…恥ずかしい…」
「うん、わかった。ごめん。」
「エッチが…イヤなんじゃない。」
「うん。」
「日向…大好き…」
「うん!!」
日向はぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
「瑞季…俺はいろんな瑞季が見たいんだ。俺だけが知ってる、俺しか知らない瑞季を。
どんな瑞季を見てもバカにしないし軽蔑もしない。新婚旅行でも散々言ったはずだぞ?
だから、瑞季を全部見せて?
明るいのが嫌ならカーテン閉めるよ。
お前の全部、俺にくれよ。」
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