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第140話

開け放たれたカーテンから明るい日差しが差し込んでいる。 涙に濡れた目をそっと擦って視線を下にやると、一頭の獣が僕の胸に吸い付いている。 「んっ…日向…」 髪の毛にそっと触れ甘い声で名前を呼ぶと、日向が顔を上げた。その唇から たらりと銀糸が繋がっている。 その顔を見た瞬間、僕の体の奥が日向を求めた。 「お願い…痛くないように…そっと…抱いて」 欲望の赴くまま言葉を吐き出すと 「とびきり…優しくしてやるよ…」 猛獣が微笑んでキスをくれた。 僕の中でゆるゆると動き出した楔は、もどかしいくらいの動き方で。 物足りなくなった僕は自らも腰を振っていた。 「瑞季…もっと欲しいか?」 潤んだ目で日向を見返し黙って何度も頷いた。 途端にずん!と、奥まで突かれ、目の前に火花が散った。 「ああっ!」 次第に激しくなる抽挿に腰が引いていくが、日向にがっちりと押さえ込まれて逃げられない。 いつの間に足されたのか、ローションの瓶が枕元に転がり、ぐちゅぐちゅという音が大きくなっていた。 はあはあと大きく息を乱し、涙がぽろりと零れ落ちる。 好き、大好き どんな扱いを受けても、何を言われても 離れられない、離れたくない 他の誰にも渡さない 僕の…僕の男… 「瑞季…お前だけを…愛してる」 愛おしい男から一番欲しい言葉が降ってきた。 日向の動きが更に大きくなった。 快楽の波に流されながらも、僕は愛される喜びに打ち震え、あと少しで訪れる絶頂の瞬間を飛びそうな意識の中で待っていた。 「瑞季っ、俺を受け取れっ!!」 最奥に熱い熱いものをどくどくと吐き出し、日向が恍惚の表情を浮かべている。 僕が放った白濁の液体が身体中に飛び散っていた。 出し切った風の日向は楔を大きくぐるりと回し、最後に一突きすると、ずるりと抜き出した。 ごぷっという音を立て、日向の白濁の液が流れ落ちてシーツを汚していった。 明るい部屋の中で逞しい裸体が露わになり、大きく深呼吸した僕はそのまま意識を手放した。

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