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第141話

side:日向 あぁ、結局抱き潰してしまった。 あんな反抗的な言葉と態度を取られたら、カチンときて虐めたくなった。 俺の愛を『レイプ』だと?ふざけるな。 こいつのことを好きで好きでどうしようもなくて、いつもくっ付いていたいし、繋がっていたいし抱きしめていたい。 『愛してる』とささやいて、あのはにかむような微笑みをずっと見ていたい。 あの笑顔を守りたい反面、ぐずぐずに溶かして乱れさせて啼かして、俺のことだけ考えるように調教したいんだ。 外に出さず、皮の首輪と美しい細いチェーンで繋いで、監禁しておきたい。 手首を縛られ泣いて赦しを乞い、俺を求める瑞季が見たい。 偏執的な愛だと自分でも思う。 それほど瑞季にやられてしまっているのか? 『そっと抱いて』と言われてもそうはできず、意識を飛ばした瑞季の身体を綺麗にしてやった。 涙の跡が幾筋も残っていたな。かなり泣かせた。 愛おしい伴侶の頬を撫でながら、俺は自分のそういう性癖をはっきりと自覚してしまった。 サディズム… そうだ、今までだって何度も…新婚旅行の時もそうだった。 別に事を荒立てる必要もないのに、敢えて瑞季を落ち込ませ泣かせて、満足した自分がいた。 いや、程々にせねばいつか愛想尽かれて捨てられるかもしれない。 瑞季、こんな俺でごめんな。 でも離してやるわけにはいかない。 だって、この世で愛するたった一人の人だから。 こんな俺を受け止め愛してくれるのはお前だけだから。 俺は瑞季にキスをすると、布団をかけ直し部屋を後にした。

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