142 / 229
第142話
side:瑞季
ん…喉乾いた…身体が…ダルい…
徐々に戻る意識。
目を開けると、一糸纏わぬあられもない姿でベッドに横たわっていた。
布団をめくり、自分の身体を見てびくっとする。
あちこちに付けられた赤いシルシ。そして幾つかの歯型。
鬱血したそれらは日向の心を証明している。
吐息ともため息ともつかぬ息を吐いて、ベッドから降りようとした。
えっ?
足に力が入らず、そのまま転がり落ちた。
「瑞季っ!どうしたっ!!」
そんなに大きな音を立てたわけでもないのに、日向がドアを蹴破る勢いで飛んできた。
「どうした?どこか怪我してないか?」
心配そうな顔をして僕を覗き込んできた。
「ううん、大丈夫。ベッドから降りようとしたら、力入らなくって…ふえっ?日向?」
ふわりと抱き上げられ、おでこにキスをされ、そのままバスルームへ連れて行かれた。
日向も服を脱ぎ、僕を丁寧に洗うとそれこそワレモノを扱うような手付きで僕の体を拭いた。
バスローブを羽織らされ、ダイニングの椅子にそっと下ろされた。
テーブルにはコンビニのパンが並んでいた。
「俺、料理できないからさ、さっき買ってきたんだけど、食べれるか?」
時計を見ると、とっくに12時を回っていてお腹が空いてることに気が付いた。
「うん、食べる。」
「コーヒー入れてくる。」
「うん、ありがとう。」
ともだちにシェアしよう!