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第146話

日向の唐突なカムアウトで、二人のエッチな気分もどこかへ吹っ飛んでいった。 落ち着かないのか、視線をうろうろと動かして時々僕のことを縋るような目で見つめている。 大丈夫だよ。心配しないで。 見捨てたり別れたりしないから。一生側にいるから。 少し冷めたコーヒーを飲みながら、普段では絶対に見ることのできない日向を楽しんで見ている自分がいた。 このままだと、日向のプライドは粉々に砕け散り、立ち直れなくなるかもしれない… そうだ! 携帯で『あるモノ』を検索してみた。 〈首輪と鎖〉…ん?イマイチ…それに〈プレイ用〉をプラスして検索… うわっ…こんなにあるんだ…すごっ… 「ねぇ、日向…」 「…ん?何?…」 おどおどしてる日向…日向らしくない。 目の前にすっと携帯を差し出す。 「…瑞季っ、これ…」 「うん、たくさんあるね。僕にはどれが似合うんだろう…一緒に探して? 痛くないのがいいな…ビニール製なんてなんか痛そうなイメージだよね…」 「瑞季っ!」 日向が抱きついてきた。 息ができなくなりそうなくらいに。 「瑞季、瑞季っ……お前は、こんな俺を軽蔑しないのか?罵らないのか?」 「どうして?僕の大切な日向に何でそんなこと言わなきゃいけないの? 日向は日向のままでいいんだって。 それに、こんなこと日向と僕でなきゃできないでしょ? ふふっ。初めてエッチしてから結婚して、こんな楽しみ方があったんだね。 でも、約束して? 『痛いことしない。』 『傷付けない』 『僕が本気で嫌がることはしない』 これを守ってくれるなら…いろんなことしよ?」 「瑞季、お前って…お前って…」 日向の肩が震え出した。え…泣いてる…

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