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第147話

震えながら泣いている日向を抱き締め宥めるように頭を撫でながら、愛し方って色々あるんだなぁ…なんて、ぼんやり考えていた。 ノーマルって何だろう。 普通じゃないってどういうことなんだろう。 だって、セックスの体位だって、四十八手もあるじゃないか。 あれだって、どれが普通なの? どれか一つとっても『これは変だ』と言う人が一人でもいたら、もうそれは『普通』じゃない。 『正常位』って、『正常』って付いてるから『普通』だとみんな思ってるけど、もし『後背位』に『正常位』って名前が付けられてたらどうだったの? あぁ、何だか頭が回らない。思考回路も変だ。 無理矢理とかそんなんじゃなくて、お互いの愛と信頼関係があった上で、合意の元に行う行為ならばいいんじゃないのかな… 難しいことはわからないけど、愛する日向が望むなら、何でも叶えてあげようと思っている。 大袈裟だけれども僕は聖母になったような崇高な気持ちで、声を出さずに泣き続ける日向をただ抱き締めていた。 日向…大丈夫。泣かないで… 僕がずっと側にいるよ。 だから 僕達なりの僕達だけの愛のカタチを作っていこうよ。 それが他人から見て『おかしい』と思われても、僕達が『それでいい』と二人で納得したものであればいいんじゃない? しばらくして日向が顔を上げた。 目元や鼻を真っ赤にして子供みたい。 僕は極上の笑顔を向け、日向の赤い鼻を摘んで 「歯磨きしたいから洗面所へ連れて行って。 一人で歩けないから。」 とかわいくおねだりをした。

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