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第148話
日向は泣き笑いのような顔を綻 ばせると
「瑞季…お前って最高…」
と呟き、すぐに僕を運んでくれた。
どうやら、僕の支度が終わるまでドアの向こうで待っててくれたようだった。
また抱き上げられてリビングのソファーに下され、横に座った日向に髪を撫でられる。
もう、いつもの日向に戻ったようだ。泣き腫らした顔だけが違うけど。
僕はどんな日向も大好きだよ。
それに、僕しか知らない日向がいる。
「瑞季…」
「ん?何?」
「お前、一見ひ弱そうに見えて、実はしなやかで強い。こんなに細くて儚げなのに、心が広くて何でも受け止めてくれる…
今まで俺は、お前を守ってきたつもりだったけど、そうじゃなかったんだな。
俺のワガママを受け入れ、俺を自由にして、お前が俺を守ってくれてたんだ。
俺は、お前と出会えて、お前とともに生きることができて…幸せだ。
ありがとう、瑞季。俺を選んでくれて…」
「違うよ、日向。
日向が僕を選んで守ってくれたんだ。だから、どんなことでも日向と一緒なら大丈夫なんだ。
僕なんかと一緒になってくれて…日向ありがとう。」
おでこをくっつけ合って、くすくす笑う。
こんなたわいもない行為の一つ一つがうれしい。
「日向…」
「ん?どうした?」
「まだちょっと腰が辛いから、横になりたい。」
「うっ…ごめん…今連れて行く。」
「楽になったら…さっきの続き…」
「?」
「僕に似合うの、一緒に選ぼう?」
ぼふっと音が出そうなくらいに真っ赤になった日向は、照れながら無言で僕を寝室へ運び、顔中にキスの雨を降らせて出て行ったのだった。
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