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第149話
何かと僕の世話を焼きキスの雨を降らせる暴君は、生クリームたっぷりのチョコドリンクかフォンダンチョコかと言わんばかりの甘い笑みを浮かべ、これまた蜂蜜みたいに甘く蕩けそうな目で僕を見ている。
「日向…」
「んー?なーに?」
「そんなに見つめられて構われたら…休めない。」
「いーじゃん!明日も休みだろ?
瑞季が愛おしくって愛おしくって堪んないから、キスしたいし見ていたい。」
「…わかった…もう、好きにしていいよ…」
諦めて言った途端にすりすりと猫のように擦り寄ってきて抱き締められた。
「瑞季ーぃ!大好き!!」
あー、イケメンキャラ完全崩壊した…
オレ様日向、どこへ行った…
今まで微かに残っていた遠慮みたいなのが、完全に吹っ飛んで、『素』の日向を曝け出している。
僕達、やっと本当の夫夫になれたんだろうか。
いいところも悪いところも、変な癖も、全て受け止め受け入れられて、手を取り合って歩んでいく。
空気のように、普段は意識しなくても絶対必要なもの…
好き好きオーラを惜しげもなく撒き散らす愛しのダーリン。
「僕も…大好きだよ。」
小さな声でささやけば、満開の花のように笑顔になった。
その日はひたすら日向に擦りつかれ、纏わり付かれ辟易したが、こんなことで日向の気が済むなら…と好きなようにさせてあげた。
こんな甘えん坊になるなんて…今度涼香ママにこっそり聞いてみようっと。
夕方になってやっと起き上がれるようになった僕は、日向に買い物を頼んで夕飯の準備を始めた。
今日はコロッケ。日向に内緒で涼香ママにレシピを教えてもらって、学生の時に初めて日向に振る舞った料理。
日向は覚えているだろうか。
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