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第150話
買い物を終えた日向をリビングに押しやって、手早く準備を終えると一気に揚げ始める。
換気扇を回しても立ち込める油の匂いに日向が飛んできた。
「あっ、コロッケだっ!」
破顔する日向に、揚げたてのを一つ小皿に取って箸と一緒に渡してあげる。
「火傷しないようにね。」
にっこり笑って、はふはふと かぶりついた日向は
「うんまーーーいっ!」
ペロリと平らげた。
「後はご飯のおかずだよ。」
と牽制すると
「バレたか。」
じゃあ、後のお楽しみに…と呟いてリビングに行きかけてまた戻ってきた。
「瑞季…なんでこのメニューなの?」
意地悪く聞かれて、わかってるくせにと思いながら切り返した。
「日向はわからないの?」
「これ、瑞季が初めて俺に作ってくれた料理だろ?わざわざお袋に聞きに言ってさ。
俺の勘が間違いでなければ…
瑞季の気持ちはあの時と変わらず同じで、俺を愛して信じてくれてる
『一生離れない』
あの時、そう言ってくれたよな?
そう思って…いいのかな?」
ぽろっと日向の目から涙が零れ落ちた。
その涙をそっと拭いて、黙って頷いた。
「そう思って。だから、泣かないで。」
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