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第157話

「水飲むか?持ってくるよ。」 日向は紐のないバスローブを翻してペットボトルの水を持ってくると、自分の口に含み、僕に口移しで何度か飲ませてくれた。 喉の渇きが治まり、ふうっと一息ついた僕の髪を撫でながら 「瑞季…あんなお前…初めて見た。 すごく綺麗でイヤらしくてかわいくて…最高だった。 でも…俺のために無理してるんじゃないか?」 あの情事を思い出して、全身がカッと熱くなり思わず両手で顔を隠す。 「…もう、日向…恥ずかしい… 自分でも超恥ずかしいから…止めて…」 その両手をそっと外されて、じっと見つめられ、食むようにキスをされた。 「俺は…うれしかった。 あんなこと言った後でも、恥ずかしがり屋の瑞季が自分の意思であんなに俺に身を委ねてくれて。 俺は瑞季に愛されている、瑞季が受け入れてくれている…それが伝わってきて…泣きそうになった。 瑞季…ありがとう。」 うっとりと日向を見つめながら 「日向…僕はどんな日向も大好きだって言ってるでしょ? どんな日向も受け入れるって。愛してるって。 だから、僕を…ずっと愛して…」 日向は僕に覆い被さってきた。触れる頬に何か冷たいものが当たる。 小刻みに震える日向の背中に手を回し、あやすようにポンポンと叩いて撫でてやった。 「日向、遅いから、このまま一緒に寝よう? 明日も休みだから、朝寝ができるね。」 ぐすっと鼻をすすった日向がバスローブを脱いで布団に潜り込んできた。 俺を優しく抱き込むとぴったりくっついて 「瑞季、愛してるよ…」 とささやくと、まもなく小さな寝息が聞こえてきた。その規則正しい音を聞きながら、僕もいつか夢の中へと沈んでいった。

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