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第161話

翌日、まだ痛む腰をさすりながら、休み時間に片岡課長の元へ… 「課長、お久し振りです!」 「おー!西條君。元気そう…いや、やつれてる?」 「えっ?いえっ、あの、大丈夫ですっ。」 いかにも『何かありました』的なオーラが出てる? にやにや笑う課長に椅子を勧められ座った。 「ふふっ。結婚生活も順調のようで、何よりだね。 どうした?何か悩み事か?アマゾネスのセクハラに耐えられないとか?」 「うっ、お陰様で…いえ、皆さんにはとてもよくしていただいています。仕事も順調です。 その節は本当に申し訳ありませんでした。ありがとうございました。」 「それならいいんだけど。」 探るような視線に 「ここまでしていただいて、言いにくいんですが、自分でも本当に悩んで悩んで悩んだ結果なんですけど。 僕はこの会社が好きで仕事が好きで、課長を始めたくさんの方によくしていただいて。ここ以上の職場には二度と巡り会えないと思っています。 できればずっと働かせていただきたい。 パートナーの母の具合が思わしくなくて…本人の希望と家族の思いで、ギリギリまで できるだけ自宅で療養をするつもりですが、日中一人にするのは、何かあったら心配で。 それで、家族にも誰にも相談してないのですが、僕が退職して面倒を看ようと思っています。 僕達が結婚できたのも、義母(はは)のお陰で、学生の時から家族のように受け入れてくれた大切な人なんです。 この先、どの位持つかわからないんですけど、悔いの残らないようにしたいと思ってるんです。」

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