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第168話
小気味よくハイヒールを鳴らして歩くまーちゃん課長の後を付いていく。
一体何を言われるんだろう。一度散々言われているから、何を言われても、もういいんだけど。
まーちゃん課長や片岡課長に迷惑のかかることだけは避けたい。
もしそうなったら、言うべきことは言わなければ。
考えを巡らせているうちに、第五会議室に着いた。
コンコン
「はい。どうぞ。」
「「失礼します」」
「…なんだよ…なんで浅井まで…西條君一人で寄越してくれって言ったのに…」
「何仰ってるんですか!私はこの子の上司なんですっ。
私にも人事の決定事項を聞く権利がありますっ。
それに…何か変なこと言ったらタダではおかないですよ。」
まーちゃん課長は目の前の高木部長をギロリと睨め付けた。
「わかったよ。とにかく、掛けたまえ。」
ノックの音がして、コーヒーが運ばれてきた。
ありがとうと黙礼して、席に着いた。
「ところで、退職の件だが…西條君、理由が『介護のため』なんだね?」
「はい。」
「義理のお母さん…だよね?病気がわかってから、ヘルパーの資格も取ったと聞いてるが。」
「はい。ギリギリまで家で過ごしたいと、まだ入院はしていません 。
日中は義母一人で過ごしているので、その間に何かあってからでは遅いし、最後まで看てあげたくて…いろいろ考えたんですけど、会社に迷惑をかけることはできませんから。
前回も僕のせいでたくさんの方を巻き込んででしまいましたし。
その節は本当に申し訳ございませんでした。」
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