「いや…あれは過敏に反応した俺達も悪かったんだ。嫌な思いをさせて申し訳なかった。 それにしても女性達からの無視は…辛かったなぁ。あのバイ菌を見るような目も。」 謝りながらくくっと笑う部長にびっくりした。 「浅井と片岡両名からも強く希望を出されてな、社長や専務にも相談して掛け合った結果… 君の退職届は受理しないことにした。」 えっ？『受理しない』？どういうこと？ 理解できずに目を見開いている僕に 「今後、君のように介護を理由に退職希望を出す社員が出てくると思う。 仕事のできる社員を失うのは会社にとって不利益だ。 それで、君をモデルケースとして、在宅勤務で働いてもらうことにしたんだ。 忘れずにレポートもまとめてくれ。 在宅といっても、週に一度は出社してもらう。あ、日時や仕事内容とかの詳細は浅井と相談してくれ。 浅井、君が出した仕事の内訳と方法の案、あれ社長のオッケー出たから、その方向で進めてくれ。 給料は全額というわけにはいかないから、一割減で了承してもらうよ。 とりあえずやってみて上手くいかなければ、みんなの知恵を借りるとしよう。 なんたって浅井課長の庶務二課は精鋭揃いだからな。 お手並み拝見といこうか。」