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第170話

「部長…どうしたんですか?何か変なものでも食べました?それとも何処かに頭ぶつけました?」 まーちゃん課長が揶揄いながら尋ねた。 「いや…正直『また西條か』って思ったよ。 でも、理由を聞いて驚いた。そのために勉強してたことも。 女でも…あぁ、こういう言い方するとまた反撃されるか…普通、親の介護なんてしたくないよな? 実はさ、俺のとこは母親が認知症になって、妻が世話してたんだが、徘徊やら泥棒扱いされたりやらで肉体的にも精神的にも参ってしまって、離婚寸前までいったんだよ。 俺は…恥ずかしながら、親の面倒は妻がするのが当たり前だと、ロクに話も聞かず任せっきりで、もう妻がボロボロになって壊れる寸前まで気にも止めなかった。 そんな状態になって初めて気付いて慌てふためいて、母を施設に入れ、離婚は回避できたんだけどね。 だから、認知症と病気とは状況は違うけれど、男でありながらそこに飛び込んでいこうとする西條に、何とかしてやりたいと思ったんだよ。 前回のお詫びも兼ねてな。 部下思いの二人の課長の熱意にも負けたし。それをサポートする課の面々にも。あぁ、斉藤部長にも。 西條君、君は本当にたくさんの人から愛されて大切に思われてるんだな。羨ましいよ。」 そう言うと、 高木部長はポリポリと頭を掻いた。

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