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第172話

「さすが鬼部長。キメる時はバシッとキメるんですね。見直しました。ありがとうございますっ! 前回の暴言、お許し下さい。」 綺麗に90度のお辞儀をしてまーちゃん課長が微笑んだ。 「黙って笑ってりゃぁ、美人なんだけどねぇ。 おっと、これもセクハラだな、ヤバい、ヤバい。 …という訳だ。西條君。これは…必要ないな。」 と言って高木部長が、既に半分に破られていた僕の退職届をビリビリと更に破って捨てた。 「庶務二のお姉様達が、君の仕事の分担と家でできる仕事の振り分けを考えて、段取りを済ませてくれているそうだ。 詳しいことは浅井に聞きたまえ。 全く…男も女もかわいい子はトクだよな。あーあ。俺もアイドル並みにかわいけりゃ人生変わってたかも…」 「…それはお気の毒な上に残念ですが…部長にアイドルは無理です。」 気の毒そうにまーちゃん課長が言うと、高木部長はがっくりと項垂れて、ひらひらと手を振って出て行った。

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