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第174話

「西條君…優しい心の君の周りには、それに惹かれて大勢の人が寄ってくるのね。 ふふっ。私もその一人なんだけど。 あの自己チューで頑固な高木部長にあそこまでさせるなんて。 あんな部長の姿、入社以来、初めて見たわ。 しまった、動画撮っておくんだった。 仕事も介護も思う存分おやりなさい。 責任は私が持つから。 困ったことがあったらすぐに言うこと。 また皆んなで知恵を絞るから。 いいわね?」 しゃくり上げながら、こくこくと頷くと、背中をパンと叩かれた。 「さぁ、アマゾネス部隊に帰るわよ!」 ふんわりと笑って会議室を出て行くまーちゃん課長を慌てて追いかけながら、ハンカチで涙を何度も拭い取った。 「まーちゃーん!どうなったの?」 「課長っ!あのセクハラジジィやっつけてくれたんでしょうね?」 「ねぇねぇ、まーちゃーん課長っ!勝ったんですか?負けたんですか?」 「あー、もう、うるさいっ!静かにっ!!」 蜂の巣を突いたような姦しい部屋の中が一斉に静まり返った。 「結論から言います。 私達の要求が全て通りました! 皆んな、ありがとうっ! 西條君との連絡は、電話・FAXとメール、それと週イチで出社するのでその時に。 社内初のモデルケースになったから、皆んなの協力よろしく頼むわね。」

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