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第176話
その夜
僕は定時で帰ってきた日向に、叱られること覚悟で全部打ち明けた。
日向は始終黙って聞いていた。
一通り僕が話終わると、無言で席を立って寝室へ行ってしまった。
どうしよう…かなり、怒っている。
そうだよな、完全な事後承諾だもの。
相談も何もなく勝手に決めてしまったから。
しばらくして、ノックをして声を掛けた。
「…日向、入ってもいい?」
応答なし。
びくびくしながら中へ入ると、日向がベッドに腰掛けて俯いていた。
「…日向…」
「…瑞季。こっちきて。」
言われる通りに日向の横に座る。
そっと手を握られ
「…瑞季、ごめん。お前にばかり負担を掛けて。相談にも乗ってやれなかった。
そんな選択をさせてしまって…お袋のために…すまない。
俺は…自分が情けないよ。ごめん、瑞季。
でも、ありがとう。そんなに思ってくれていたなんて。
きっと、親父もお袋も喜ぶと思うよ。
本当にそれでいいのか?」
「そうしなければ、僕は一生後悔すると思ったから。
自分ができることを精一杯したいと思ったから。
僕を受け入れてくれた涼香ママやお義父さん、そして日向のために…」
「瑞季…ありがとう…」
僕を抱きしめてきた日向の肩が震えている。その肩を抱き返してキスをすると、やがて僕達は一つに重なり合った。
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