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第178話
必死で頭を下げ続ける僕に、お義父さんが声をかける。
「…ありがとう、わかったよ、瑞季君。そこまで根回ししてくれてるのなら、甘えてお願いしてもいいかな?
正直言うと、日中、俺がいない時にここにいてもらえたら助かるな。
涼香も一人でいるより心強いだろうから。
おい、涼香、それでいいよな?
でも、仕事に支障がないようにしてくれよ。
日向、お前にも迷惑かけるけどよろしくな。」
ホッとした顔で涼香ママが微笑んで言った。
「瑞季君、ありがとう…私、ワガママたくさん言っちゃうわよ。」
「ええ。ワガママ言われた方がやり甲斐がありますから。」
ふふっと微笑み返すと、涼香ママの目に涙が浮かんだ。
「瑞季君、日向…本当にありがとう。
とっても…心細かったの。でも、これで安心だわ。
私、とっても幸せ者ね。」
泣き崩れる涼香ママをお義父さんがそっと抱きしめる。
慈愛溢れるその姿に、愛おしくて切なくて堪らなくなり、隣の日向を見やると、同じような目をして僕の方を向いて頷いた。
僕はさりげなく日向との距離を詰め、その腕に自分の腕をくっ付けるとそっと目を閉じた。
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