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第180話
いつものように、帰ってきたお義父さんと交代して家路につくと、珍しく日向がもう帰ってきていて、食事の用意をしてくれていた。
「あっ、日向!ただいま。
今日早かったんだね。ごめん、もう用意してくれてたの?」
「あぁ。たまにはいいだろ?お前に負担ばかりかけてるから。」
「負担だなんて…僕はそんな風に思ったことはないよ。」
「…瑞季…ありがとう。」
労わるようにそっと抱きしめられて、思わず泣きそうになるのを必死で堪えて、その広い背中に手を回して抱きしめ返す。
とくとくと規則正しく打つ心臓の音を聞いていると『生きている』という思いが 強くなり…
「日向…」
「ん?どうした?」
首を振ってぎゅうっと抱きつく僕を 日向はただただ抱きしめてくれていた。
「さ、冷めないうちに食べてしまおうか。」
優しい声音の日向の言葉に僕は微笑んで頷くと、さりげなく目尻の涙を拭いキッチンへ向かった。
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