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第195話
涼香ママは口元に微笑みを浮かべ、頬は薄紅色で、まるで眠っているようだった。
僕は、お義父さんに目で『いいですか?』と尋ねると、うんうんと頷いてくれた。
それを確認して、まだほんのりと暖かい手にそっと触れると、僕を後ろから抱きしめてきた日向の手が重なった。
「涼香ママ…瑞季です…お義父さんも日向もいますよ。
本当に…本当に最後まで頑張りましたね。
どうか、安らかにゆっくりとお休み下さい。
涼香ママにお願いされたことは、僕が責任を持って必ず守ります。
…僕達のことを見守って下さいね。」
『瑞季君、頼んだわよ!』
涼香ママの声が聞こえたような気がした。
日向の手の上にお義父さんの手が重なった。
僕の頬にポタリと涙が落ちた。
日向…
溢れる涙を拭おうともせず、日向が嗚咽を殺して泣いている。
上に置かれたお義父さんの手が震え出し、ハッとして顔を上げると、涙で霞んだ僕の目に、
ぐしゃぐしゃになったお義父さんの顔が飛び込んできた。
「涼香…涼香っ…何で、何で俺を置いて逝ったっ!!
涼香っ!涼香ぁーーっ!!」
涼香ママにしがみつき、胸が引き裂かれるような声で叫び泣くお義父さんにかける言葉もなく、空いた手をお義父さんの手の上に置いた。
そうやって、僕達は愛する人を失った痛みを分け合っていた。
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