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第196話

「お義父さん…これ、涼香ママが、自分が旅立った後に、お義父さんに渡してくれと預かっていたものです。」 僕は肌身離さず持ち歩いていた一冊のノートをお義父さんに渡した。 「これは…エンディングノート……」 「はい。お義父さん泣いちゃうから見せなかったって…。それで、僕が頼まれてお預かりしてました。 …最後のお願いが一番後ろのページに書いてあります。」 お義父さんは震える手で受け取った。 パラパラと花マルで埋め尽くされたページを捲り、最後に辿り着いた。 《私のお葬式には…》 祭壇に飾る花を全部赤いバラにして下さい。 本数は999本。 なぜかって?バラの本数には意味があります。 999本のバラは…『何回生まれ変わっても永久に変わらない』 菊とか嫌なの。『いかにも葬式』って感じでしょ? 葬儀場にもお寺さんにも了解を取ってます。 そうそう、墓前も仏壇にも飾るのはバラでお願いね。 ねぇ、臣さん。 私、あなたに出会えて本当に幸せでした。 二人の息子も授かって、三人目のかわいい息子も増えて、とっても!! 来世でまた会えたらいいわね 。 ううん、絶対見つけるわ。 それまでサヨウナラ。またお会いしてステキな恋をしましょう。 」

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