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第198話

余りの手際の良さに、ノートを読んである程度理解していた僕を含め、汗だくで駆けつけて来た朝陽君も加わって、四人とも空いた口が塞がらない。 お義父さんや僕達がやらなければならないことは、ほとんどなかった。 自分のお葬式の段取りや準備を済ませてしまっているなんて。 終活という言葉があるが、数十段その上をいっている。 やっぱり…涼香ママはすごかった。 お義父さんがボヤく。 「なんて奴だよ。涼香は。戒名まで決めちまって。 俺の出る幕ないじゃないか。俺は…アテにされてない…いらないのかよ。」 お義父さんが冗談交じりに言うと、ノートをめくっていた朝陽君が 「これ、親父のことばっかりじゃん。 親父、やっぱりすっげー愛されてたんだなぁ。 あー、俺のせいで全部クリアできなかったのかぁー。ごめん、お袋。 こればっかりは仕方ないよな、縁のものだから。 俺だって結婚したいんだけど、相手が見つからないだけなんだよ。」 「早く俺達みたいに相思相愛の伴侶に出会えるといいな、朝陽。 会えたら早く紹介しろよな。」 「わかってるよ。早く結婚してぇー! …親父とお袋みたいな…」 それを聞いて、お義父さんがまた泣いた。 もらい泣きで僕も泣いた。 二時間ほどして…日向と僕の結婚に大反対だった涼香ママのご両親…つまりは日向の祖父母…が目を真っ赤にしてやって来た。 また酷く何か言われる…そう思って知らず知らず部屋の隅に足が向いた。

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