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第199話
そんな僕を目ざとく見つけた日向は『大丈夫』と言わんばかりに僕の肩を抱いてみんなの側に連れて行こうとしたが、首を横に振って拒否した。
この場でみんなに嫌な思いをさせたくない、気持ちよく涼香ママを送り出したい。
潤んだ目で訴えると、僕をじっと見つめた日向は、僕の気持ちを理解してくれたのかその場に一緒にいてくれた。
泣きながら涼香ママの顔を撫で、ひと言ふた言ささやき、お線香をあげたお二人はお義父さんの方に向き直り
「正臣さん、この子がお世話になりました。
本当に…本当に最後までありがとうございました…」
後は号泣で言葉にならない。
しばらくすると泣き腫らした目で僕と視線が合うと、一直線にこちらに向かって来た。
思わず日向の背中に隠れそうになったが、意を決して背筋を伸ばし真っ直ぐに迎える。
何を言われても耐えなければ…
「瑞季君、涼香のために誠心誠意尽くしてくれてありがとう。
あの子、本当に喜んでいたの。
辛くてしんどい時も、ずっと側に瑞季君がいてくれるから耐えられるんだって。
食欲のない時も一口でも食べることができたって。
三カ月の余命よりも長く生きることができたのは、正臣さんや日向、朝陽と…あなたの献身的なお世話のお陰だと思うの。
本当に、本当にありがとうございました。
そして
私も主人もあなたに謝らなければならない。
ごめんなさい….
西條家にお嫁に来てくれてありがとう。
今まで散々酷いことをしてきた私達を許してくれるかしら?」
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