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第204話

「…じいちゃんとばあちゃんが許してくれてよかったよ。 あのままじゃ、瑞季がかわいそうだったから。 俺だって…瑞季に対して申し訳ない気持ちで一杯だった。 …きっとお袋からのプレゼントだと思うよ。」 「そうだな。あの頑固なじいちゃんが『遊びに来てくれないか』って言ってたもんな。 それにしても、瑞季君には本当に世話になった。 辞表も出してたんだろ?会社も巻き込んで… でも課長さんや部長さんまで来て下さってたなぁ。 あの様子見てたら、あの子はいろんな人にかわいがってもらってるんだな…って思ったよ。 …あの子のお陰で涼香の寿命も宣告よりもずっと長く生きることができたんだ。 『側にいてくれるだけで優しい気持ちになれる』 って涼香がいつも言ってたんだ。 お医者さんも驚いてた。 本当に感謝しても、し足りないよ。 日向、お前達に負担をかけてすまなかったな。」 「瑞季に任せっぱなしで俺は何もできなかった… 他人(ひと)の喜ぶことばかり優先して自分のことは後回し。お人好しで優しくって気立てがいい。俺のことをいつも気にかけて愛してくれてる。 …俺は最高の嫁をもらっただろ、親父?」 「ははっ、そうだな。っていうか、親の前で惚気るなよ。 おっ、そろそろ朝陽と代わってやらないと。 俺だってできるだけ涼香の側にいたいからな。このまま朝まで涼香と二人でいたいから邪魔しないでくれよ。」 カタカタと障子を開ける音がしてお義父さんが出て行ったようだった。 僕は布団を畳んで日向のいる部屋を覗いた。 「日向…」 「瑞季!起きたのか?もう少し休んでろよ。」

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