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第219話
夜が白々と明ける頃ふと目が覚めて、隣にいるはずの瑞季がいないのに気が付いた。
「瑞季?」
呼んでも返事がない。
どこだ?こんな時間にまさか外へ?
慌てて飛び起きて瑞季を探す。
瑞季の部屋のドアが少し空いていた。
音を立てないように、そっと覗いてみると、膝を抱え丸くなった瑞季が、部屋の隅にいた。
「瑞季、どうしたんだ?何だよ、こんなところで。」
くいっと顎を上げると、その手を払いのけ顔を晒してしまった。
「みーずーきー?まだ早いよ。一緒にベッドに戻ろう。おいで。」
俯いたまま、いやいやと首を横に振り、俺の言うことを聞いてくれない。
一体、どうしたんだ?
冷え切った身体を温めてやらないと。
動こうとしない瑞季を抱き上げて、ベッドに無理矢理連れて行った。
身体がふるふると震えている。
ベッドに入ると、背中から抱き込んで逃げられないようにホールドする。
頭を撫でながら、瑞季の震えが治まるのを待っていた。
「瑞季…愛してるよ。」
何度も何度も呪文のように、繰り返し繰り返しささやき続ける。
そのうち、震えも止まり、硬直していた身体が柔らかくなり、俺に身体を預けてきた。
「瑞季…何かあったかい物でも飲もうか?
ちょっと待ってな。」
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