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第223話
身体に触れた誰かの手を思わず振り払った。
「みーずーきー?まだ早いよ。一緒にベッドに戻ろう。おいで。」
いや。もう悲しい想いをしたくない。
もう僕に構わないで。
いやだ、いやだ。放っておいて。
残されるのなら、先にこのまま消えてなくなりたい。
ふんわりと抱き上げられどこかへ連れて行かれる。
身体がカタカタ震えて止まらない…背中からすっぽりと抱きとめられて、大好きな匂いに包まれる。
あぁ…この匂い大好き…この温もり…安心する…
「瑞季…愛してる…愛してるよ。」
抱きしめられ何度も何度も呪文のようにささやかれる。
時折頬や首筋に唇が触れてくる。
いつの間にか身体の震えが治まり、くったりと身体を預けると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「瑞季…何かあったかい物でも飲もうか?
ちょっと待ってな。」
え?離れちゃうの?このままいたいのに。
でも…すぐ戻るよね?
頷くと、頬に優しくキスをされた。
膝を抱え心許なく待っていると、すぐに甘い香りとともに戻ってきた。
「ほら、瑞季。熱いから気を付けて。」
少し冷まして一口…
「…美味しい。」
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