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第226話
出来立てのコロッケを はふはふと冷ましながら被りつく日向。
子供のように口一杯頬張って食べる日向がかわいくって、つい箸を止めて見入ってしまう。
「ふぃうひぃ、ほーひは?はえはひほは?」
「…日向…口の中空っぽにしてから喋って…」
「へへっ。…瑞季?どうした?食べないのか?」
「ううん、何でもない。食べるよ。」
一緒になってぱくついて同じ味を共有して…微笑んで…この何気ない風景が愛おしくて堪らない。
当たり前のことは当たり前じゃない。
平凡って一番幸せなことかもしれない。
『普通』っていいな…
「…瑞季…瑞季?」
「…えっ?何?どうしたの?」
「『どうしたの?』はこっちの台詞だよ。
ボンヤリしてどうしたんだ?
仕事煮詰まってんのか?」
「ううん。違うよ。
日向と一緒にいることができて幸せだなって思ってただけ。」
ふふっと笑って答えると、頭をくしゃっと撫でられた。
「そうだな。二人でいられるって…幸せだな。」
おでこをくっ付け合って…お互いを確かめ合うようなキスをする。
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