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第227話

「瑞季…今夜は…何もしないでくっ付いて寝よう。 お前を…ただ抱きしめてたい。」 「…うん。これ、片付けてしまうから…待ってて…」 日向のおでこにキスを残して、僕はキッチンへ逃げるように向かった。 もう、顔どころか身体が火照って熱い。 抱きしめられて眠る…ただそれだけのことなのに、その先の快楽を知っている身体は、正直に反応していた。 愛する(ひと)に、どんなにいやらしい身体に開発されてしまったのか。 どこもかしこも日向の好む通りに… それでもいい。 乱れる僕を『愛してる』と言ってくれる男のためなら。 僕は手早く食器を片付けると、火照る身体を誤魔化すためにバスルームへ急いだ。 最近お気に入りのソープの香りに包まれ、火照る身体を熱いお湯に同化させる。 これで悟られずに湯上りの上気した顔になるだろう。 寝室では、もう日向が横になり僕を待っていた。 布団をめくり、シーツをばふばふと叩いて 「はい、瑞季。こっち来て!」 日向がしっぽを振るワンコのように見えて、思わずくすりと笑ってしまった。 「何?何かおかしかった?」 「ふふっ。日向が、ぶんぶんしっぽを振ってるのが見えた。」 ちぇっ…犬かよっ…ぼそぼそ呟くそれも…かわいい。 笑いながら、滑り込むようにして日向の腕の中に収まった。

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