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続**不釣り合い**(2)
「俺の本気、理解してくださいました?」
唇を離し、にっこり微笑むと、彼の顔が赤く染まる。
――ああ、やっぱりぶつけた額が赤くなってるし。
傷になってなくて良かったと思うものの、それでも痛そうなのには変わりない。
唇を寄せ、痛みから解放されるように赤くなった額に幾度となく口づける。
静かな研究室にリップ音だけが響く。
「……っ、あっ、てん、ご、くん……」
目が潤み、俺を見つめる双羽さんの表情が色を纏 っている。
俺を感じてくれているのだろうか。
そんな顔をされると双羽さんが欲しくなる。
「何でしたら、この先にも進みましょうか」
俺はそう言って、双羽さんが着ている白衣の裾を持ち上げる。
下着を通り、背中を撫でる。
……ああ、やはり、双羽さんの肌はしっとりとしていてとても滑らかだ。
「っは……天伍 くん……」
「双羽さん……」
俺は耳孔に唇を寄せ、貴方が欲しいと懇願しながら彼の名を呼ぶ。
「っは……天伍くん……好き……好きなんだ……」
俺が双羽さんの名前を耳元で囁いてみせると、消え入りそうな声で彼は告 ってくれた。
オジサンだからとか、俺の気持ちを拒絶する言い訳なんてもうさせない。
「スイカよりも美味しそうな貴方を食べてもいい?」
「っは……」
耳朶を甘噛みして訊ねれば、体が小さく跳ねた。
彼の吐き出す息は短く、どこか苦しそうだ。
息が上がっているのは俺を意識しているからだろう。
耳孔を舐めて追い詰める。
「っはぅ……」
俺が限界。逃げ場なんて与えてやんない。
俺は双羽さんに覆い被さり、もう一度唇を奪う。
今度はさらに深く。逃げられないように……。
**END**
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