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**かくれんぼ**(2)
肖像画の女性は清楚で控えめな白のドレスに身を包み、麦畑を思わせる金の艶やかな髪を後ろに束ねている。透けるような白い肌に大きい二重の目。弧を描く可愛らしい紅色の唇。彼女はとても美しかった。
彼女はローランド様の奥方様候補のひとりで、美人だと有名だ。だけど一方では気位が高いという噂もある。
でも、ローランド様の奥方様選びだし、亡き旦那様にはぼくとローランド様が兄弟のようにして育てていただいていたといっても、ぼくは公爵家の人間じゃない。使用人に発言できる権利なんてない。
「……ぼくには口出しする権利なんてありません」
苦しい。
胸が痛い。
ぼくは泣きそうになるのをなんとか我慢して、失礼しましたと一礼すると、すぐに踵を返し、部屋から出る。
ぼくを呼び止めるローランド様の声が背中越しから聞こえたけれど、聞こえないふりをして遠ざかる。
――そう、ぼくは、泣きたくなるほどローランド様が好きなんだ。
いつの間にか芽生えた淡い気持ち。この気持ちが恋だと知ってからもずっと、ローランド様を見てきた。
同性なのに、恋なんておかしいと思う。だけどハンサムで優しい彼なら、この気持ちが芽生えるのも不思議じゃない。
一度知ってしまった恋を諦めることができなくて、今でもズルズルとこの想いを抱き続けている。
だけどそれでも……近いうちにローランド様は時期に奥様を迎え、家庭を持つ。この気持ちにも終止符を打たなければならない。
ローランド様は公爵で、数ある土地を経営しているとても身分ある方だ。
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